アルケミスト パウロ・コエーリョ著を読んで


 お告げの様な夢を二度見た少年が、その夢を信じて宝物を求めて旅をする物語。一見、児童文学の冒険物の様な話だが、子供向けに収まらない深く含蓄がある言葉の数々が随所にあり、大人の読者にこそ、本書に込められた英知を読み解く喜びを味わえる作品である。
 簡潔でわかりやすい文章で物語が進むが、主人公の少年がとる行動、情動の動きの一つ一つが人生における大事なことを、示唆しており、一文一文に込められた意味の深さに感嘆させられる。
 この本は表面をなぞれば、児童向け冒険物語だが、真の内容は、旅を通して心を見つめ自分の本当の気持ちを見つけ、向き合きあうことを学ぶストーリーだ。
 本書でいう所の、人には、神が記した人それぞれの幸せになる道が用意されているのだが、大多数の人が、その道を行くことができない。
 なぜなら、神が用意してくれた予兆を見ようとしなからだ。
 それは、自身の心にも向き合わずに真に自分の欲することをしないことであったり、また、目先のこと(未来のこと)、過去のことに目を向けて現在を懸命に生きようとしない為、予兆を見ることができない。
 人は幸福が約束された道があるにも関わらず、なぜ、簡単に道を逸れてしまうのか。
 それは、自身の心の声を聴き、現在を生きることをしないからであると本書は言っている。
 この本は、勇気をもって心と向き合い、現在を懸命に生きる人は、宇宙(大いなる魂)は味方し、幸福の道を行けるという啓発本である。  と、本書の解説はここまでとして、本書で心に残った言葉を紹介する。
 『人は、自分の必要と希望を満たす能力さえあれば、未知を恐れることはない』
 人は多くは必要とせずに、足るを知り、心と向き合い求めるもを見据えて、心を希望で満たすことができれば、生きていく上でなにも恐れることはないとの言葉だ。
 人は生きる上で必要なもとの少しの希望があれば生きていけるとの力強い言葉。
 必要なものがないのは、大きな苦しみであるし、希望をもてない人生は苦痛以外のなにものでもない。
 いまを生きづらいと感じている人は、そのどちらかが足りていないのだろう。大抵は、希望が足りていないのが原因ではないか。
 希望を満たすには、自らの心と向き合い、自分だけの宝物を見つけることに目を逸らしてはダメだ。
 人は、自らの希望に目を閉じ、現状に甘んじ、変化すること(進化すること)を拒む。現在を変えて良くすることなしに、未来は良くはならない。
 現在を懸命に生きる人にこそ、大いなる魂(神も世界)も味方すると、エールを送る本書には本当に感銘を受けた。
 いまを懸命に生きることは、簡単ではない。すぐに惰性に流されて怠惰に生きたり、過去の失敗に囚われたりして、身動きが取れなくなったり、遠い未来にばかり心配して、いまを大切にできくなったりする。
 だから、繰り返し『いまを生きる』こと、勇気を持って『自らの心と向き合う』ことが人生には大切なのだと思う。
 この本は何度も読み直したくなる人生の友にできる作品だ。まだ、未読の人は、一読をお勧めする。