年老いた母の買い物に付き添い近所のスーパーに出向くことが度々ある。重い荷物が運べないので、週に一回、一緒に買い物に行きまとめ買いをすると、後は足りなものを少し買い足すくらいで済むので助かると母は言う。
先日、いつものように母と食材を買いにいった。レジに並び会計をして貰っていたら、母が豆腐の種類を間違えたので変えたいと店員に伝えてキャンセルを行い、私が豆腐の売り場に絹豆腐を取りに行った時のことだ。
レジに戻ってくるなり、母の後ろに車椅子の高齢の男性が並んでおり、レジに入ることができなかったので、並びと反対側から入り店員に豆腐を渡したのだが、そうしたら母の後ろに並んでいた老人が大声で怒鳴りだしたのだ。
私はその老人に横入りした訳ではなく、今会計している人と一緒なんですと説明したが、納得がいかなかったのか、どけよと大声て言って私の前からレジの列から離れて、また喚きだして何やら言っているが、要は並ばずに会計しろとスーパーの店員に要求したようだ。
店員は他の客がいるのに誤って、その老人の要求を飲んで他の客より優先して会計を済ませるといったことがあった。
高齢で車椅子だからと、この老人の要求を飲む行為はどうなのかと思ってしまう。なぜなら、高齢で車椅子ではあるが意識がしっかりしており一人で買い物だでき、人を怒鳴りつけたりできる程元気も良い老人のわがままで、迷惑な理不尽な行動を、私達は許さなければならないのだろうか。
高齢で病が原因で発作的に意味不明なことを大声で言っているのはとは違い、状況を理解した上で自身の間違いが受け入れられず怒りに任せて他人に当たり、周りに迷惑を掛けているこの老人に、私は情状の余地は無いように思う。
それでもお店の店員が老人のわがままな要求を飲んだのは、これ以上大声で当たり散らしてもっと騒ぎが大きくならないように折れたのかもしれないが、その場にいた私としては納得のいかないことであった。
それはこの老人がいきなり私を怒鳴りつけたこと、間違いを指摘しても謝らずにいること、私が説明した後も私のような他人様に、どけよと怒鳴っていくような人なので、私はカチンと頭にきてしまったからだ。
たぶんこの老人は普段から人様に対して、私に対してしたように尊大な態度で自分は弱者だから特別に扱われて当然としたわがままな行動を日常的にしているのだろう。だから、平気で人の迷惑になっていることを堂々と公衆の面前で喚き散らすなどできるのだろう。
その様は見た目は老人でも自分の思う通りにいかないと気がすまない子供と同じだが、そのやり口が可愛くなく人を巻き込み嫌な気分にさせ迷惑この上ない点で醜悪である。
この騒ぎの直後に、私の背後から3歳ぐらいの女の子が大きな声で泣きながら近寄ってきた。どうやら迷子になったらしい。騒ぎが騒ぎでもお母さんとはぐれてしまったと泣きながら店員さんに告げる女の子のは、微笑ましくピリついた先ほど老人が起こした騒動を緩和させる微笑ましい騒々しさであり周囲を笑顔にした。
いい大人、人から敬われる存在であるべき高齢者が、わがままにエゴを振りまき当然としている様子に酷くガッカリしてしまう。近頃、何々モンスターという人がいるようだが、老人にもこのモンスターになる人が結構巷で見かけることが増えていて、どうなっているんだ日本はと思ってしまう。
悪びれもなく自分のわがままな要求が通って当然とするモンスター達が生息する地になってしまった日本。一体なにが原因なのだろうか。私が思うに、この国にあるお客様は神様だ的な発想がいけないのではないかと思ってしまう。
あの老人も私でなく、自身の憂さを晴らすのに、抵抗しない店員に怒りをぶつけて要求を通す。そしてその様な要求が通ってしまうから、何度でも同じ様なわがままを通すようになるのではないだろうか。
お店は客商売とは言え、毅然と言うべきはいい。老人にもちゃんとレジに並んで会計してもらうように言うべきだろう。それこそが周りのため、そして老人本人のため、そして店員も本当はそう言いたかったのではないかと思う。
でも、そう店員ができなかったのは、お客さは神様だとするお店の姿勢が影響しているのだろう。これからの企業は理不尽なことを要求する客には毅然とした態度をとることを是とするようになってもらいたいものだ。