思い出の『ガスビー』という遊び

小学生の頃、私の周りで流行っていた面白い遊びと言えば『ガスビー』だ。以前、大学の友人にこの遊びについて他の地域の同年代に聞いたら知らない、やったことないというので、私の地元だけで流行ったローカルな遊びだということを後になって知った。

初めてガスビーという言葉を聞いた人は、なんとも変わったネーミングで言葉を聞いただけでどんな遊びかを想像するのは難しいらしい。ガスビーとは、ガラスのビー玉の短縮系である。つまり、ガラスのビー玉を使った遊びということである。
 
 ガラスのビー玉と言っても、普通のビー玉も使うのだが、基本的にはガラス工場か何かで出る玉状のガラスの欠片を使うのである。遊び方は、公園の砂場に砂で傾斜を作り、その傾斜にペットボトルのアルミキャップやビールの王冠を凹になるように埋めて、傾斜の上からビー玉を転がして、その凹になった王冠の中にビー玉が入ったら、何個かの決まった数のビー玉を貰えるという遊びで、砂場でパチンコ台の様なものを作って遊んでいるのである。
 
 賭け玉が、ガラス片の薄く濁った不揃いの玉で、それが王冠に入ったら賭け玉が増えるか、もしくは綺麗な色付きの丸い普通のビー玉と交換してもらう事ができるのである。
 
 なので、子供たちはガスビーの玉の数や種類を競う為に、砂場のパチンコ台を工夫したり、転がし方のテクニックを上げたりと、創意工夫をして競い合うのである。
 
 ある子は、コースの半ばに断絶を作り、そこを越さなければ王冠に入らないようにしたり、王冠の前に砂盛って山上にして簡単に入らないようにしたり、傾斜の中にトンネルを作る為に、筒を砂の中に通してみたりと、各々が創意工夫した台を作る楽しさがある遊びなのである。
 
 この遊びは良くできていて、砂場でパチンコのコースを作る楽しさと、それで遊ぶ楽しさ、ビー玉の数や種類を増やす楽しさなど、いくつもの楽しさが合わさった飽きの来ない遊びである。
 
 けれでも、その遊びも自分たちの世代だけで流行ったみたいで、他の遊びがでると次第に誰もやらなくなって下の世代はやらなくなっていたようだ。