冬の渇きと、僕の「小さなわがまま」。白湯を諦めて見つけた心地よい答え

 



「冬は乾燥するから、こまめに水分をとりましょう」

テレビや雑誌で、耳にタコができるほど聞く言葉です。僕も40代になり、健康には人一倍気を使うようになりました。体に良いと聞けば、律儀に水筒にお湯を詰め、仕事場へと向かいます。

けれど、正直に白状します。冬に白湯を飲むのって、僕にとってはどこか「修行」のような辛さがありました。

喉は渇いているはずなのに、なぜか水が喉を通らない。夕方、仕事が終わる頃になっても水筒の中身は半分以上残ったまま。そんな日が続いていたのです。

1. 8時間で600mlが飲み切れない「心の省エネモード」

最近の僕は、職場のデスクで水筒とお見合いをするばかりでした。 朝にコーヒーを一杯飲んだら、あとはちびちびとお湯をすするだけ。「汗をかかないから大丈夫」と自分に言い聞かせていましたが、体は静かに、けれど確実に悲鳴を上げていました。

  • 鏡の中のサイン: 尿の色は驚くほど濃い黄色になり、出した後のスッキリ感もどこかへ消えてしまいました。

  • 重たい日常: お腹が張って、便秘がちに。体が重いと、心までどんよりと曇っていきます。

  • 夜の暴走: 昼間に水を拒んでいた反動か、帰宅すると牛乳やお酒をがぶ飲みしたくなる衝動に駆られました。

今思えば、僕の体は「感情の省エネモード」と同じように、水分を受け付けるセンサーが鈍り、パニックを起こしていたのかもしれません。

2. 「正解」という名の、窮屈な靴を脱いでみる

「冬=温活」「体には白湯がベスト」。 そんな巷にあふれる「正解」を、僕は疑いもせずに信じていました。でも、熱いお湯は一度にたくさん飲めません。効率や健康を意識しすぎるあまり、肝心の「喉を潤す」という本能を置き去りにしていたのです。

そこで僕は、世の中のルールとは真逆の、ある「小さな実験」をしてみることにしました。 それは、**「冬に冷たい麦茶を飲む」**という選択です。

3. 五感を呼び覚ます、麦茶の香ばしさ

水出しの麦茶を水筒に入れて持っていった日、不思議なことが起こりました。あんなに拒絶していた喉が、驚くほどスムーズに動いたのです。

  • 香りがスイッチになる: 麦茶の香ばしさが鼻を抜けると、喉の奥が「ゴクゴク」というリズムを思い出してくれました。

  • 温度のちょうど良さ: 冷ます手間がないから、渇きを感じた瞬間に必要なだけ流し込める。そのシンプルさが、僕には心地よかったのです。

お昼休みに温かいお味噌汁を飲み、それ以外の時間は麦茶で潤す。 このリズムに変えてから、1日1リットル以上の水分を、無理なく、誠実に体へと届けられるようになりました。

4. 潤いが教えてくれた、本来の自分

水分量を戻してすぐに、体は劇的な変化を見せてくれました。尿の色は健康的なレモン色に戻り、サプリを飲むよりもずっと軽やかに、お通じの悩みもどこかへ飛んでいきました。

何より嬉しかったのは、夜の「がぶ飲み」が止まったことです。日中の渇きが癒されたことで、心が安定し、無駄な刺激を求めなくなった。それは僕にとって、自分を取り戻すような体験でした。


まとめ:不器用な僕たちの、自分に合う「形」

「白湯がベスト」という一般論が、すべての人に当てはまるわけではありません。 誰かにとっては冷たい炭酸水かもしれないし、また別の人にとっては温かいほうじ茶かもしれません。大切なのは、**「自分の体が、ストレスなく受け入れてくれるもの」**を丁寧に選ぶことだと思うのです。

もし、あなたの体が今、小さなSOSを出しているなら。 無理をして正解を追い求めるのを、一度お休みしてみませんか?

まずは明日、水筒の中身を自分が一番「美味しい」と思える、なんてことのない麦茶に変えてみる。そんな小さな一歩が、あなたの冬を少しだけ軽やかにしてくれるかもしれません。

不器用な僕だけど、自分の「飲みやすい」を大切にしながら、今日もゆっくりと自分を整えていけたら。今はそう思っています。