「夢のマイホーム」に違和感を覚えた日。台風が教えてくれたこと

 


台風が来るたびに、暮らしの足元がぐらつく気がした

少し前、また大きな台風がやってくるというニュースを聞いて、「ああ、またか」と心のどこかでうんざりしていました。

学生の頃は、台風が来ると学校が休みになるのが嬉しくて、むしろちょっとした非日常にワクワクしていた記憶があります。でも、年を重ねるごとに、台風は“生活が崩れるかもしれない出来事”になっていきました。

雨風の強さよりも、心配になるのはインフラの方。停電、断水、電車の運休、食料や日用品の欠品。特にここ数年は、それが「本当に起きる」現実として何度も目の前に突きつけられています。

2019年の台風19号が接近した日。家のベランダに飛びそうな物がないかチェックして、非常用の水やモバイルバッテリーを確認していると、ふと虚しさのようなものが湧いてきました。

「こうして備えていても、もし電柱が倒れたら? 屋根が飛んだら? 停電が何日も続いたら?」

そんなことを考えると、暮らしの足元が急に不安定なものに思えてきました。


それでも「戸建て」は夢だったはずなのに

若い頃は、いつかは一軒家を持ちたいと思っていました。小さな庭があって、ウッドデッキでコーヒーなんか飲んだりして。そんな暮らしができたらいいな、って。

でも、あの台風のあと、その気持ちが少しずつ変わっていきました。

台風15号のとき、千葉で長期間の停電が起きた地域に、知人が住んでいました。
「夜になると何も見えなくなって、スマホも充電できなくて、暑くて眠れなくて…。本当に、死ぬかと思ったよ」と言っていたのが忘れられません。

その話を聞いて、自分の暮らしにも置き換えてみました。

うちの家は築年数もけっこう経っていて、断熱も弱いし、ベランダの排水口がよく詰まる。もし本当に大型台風が直撃したら、どこまで持ちこたえられるのか、心配になります。

どこかで「うちは大丈夫だろう」と思いたい。でも実際は、家の性能だけじゃなく、住んでいる地域の地形や避難経路、電力網の脆さまで、いろんな要素が関係している。

それが、やけにリアルに感じられるようになったんです。


“夢のマイホーム”より、“守れる暮らし”を選ぶ時代

それ以来、「自分はどこに、どう住みたいのか」を見直すようになりました。

理想の家よりも、「災害が来たときに自分や家族を守れるか」という視点の方が、今の自分には大切なんじゃないかと感じたんです。

最近は、防災面で有利なマンションに人気が集まっているのも納得です。免震構造や非常用の発電設備、オートロックや高い防犯性。もちろん、すべてのマンションが完璧ではありませんが、少なくとも「守られている」という感覚は得やすい。

戸建て住宅には、もちろん魅力もあります。でも、強風で屋根が飛んだり、浸水被害で住めなくなったりするニュースを何度も見るたびに、「この先何十年、安心して暮らしていけるか?」と考えてしまいます。

加えて、火災保険や地震保険の保険料も、じわじわと上がっているようです。自然災害が“想定外”ではなく“日常”になりつつある今、住まいのリスクも家計に直結する問題です。

僕自身、まだ明確な答えが出ているわけではありませんが、「住まいは“夢”で選ぶ時代じゃないのかもしれない」と、少しずつ感じるようになりました。


それでも、安心して暮らせる場所を探していきたい

こういう話をすると、「じゃあ一体どこなら安全なんだよ」と、逆に不安を煽ってしまうかもしれません。

でも、そんな時代だからこそ、自分の“安心の軸”を持っておくことが大事なんじゃないかと思っています。

災害は防げなくても、「どこに住むか」「どう備えるか」は、自分で選べます。
その選択の積み重ねが、きっと未来の安心につながっていくはずだから。

もし、あなたが今、家を選ぼうとしているなら。夢や憧れだけでなく、「守る視点」も忘れずに持っていてほしいと思います。

僕もまだ、途中のところにいます。だけど、一歩ずつ、暮らしを見直していきたいと思っています。